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三線おやじの三線作り もくじ [手作り三線]

三線おやじの三線作りの目次です。
項目をクリックすれば該当するページを表示します。
ブログでは本のように簡単に目的のページを表示できませんが、その不便さもこの目次で少し解消されると思います。
三線4台.jpg
もくじ

はじめに
三線作りをはじめる前に
   三線の全体像/三線作りの基本/三線作りに使う道具
   /三線の扱い方/三線の製作図
三線の製作
   カンカラ三線を作ろう
      歌口の製作
      棹の製作
         材料の選び方
         棹の墨付け
         棹の粗加工
         棹の仕上げ加工
      缶チーガの製作
         材料の選び方
         墨付け
         缶の角穴加工
      ウマの製作
      カラクイの製作
      猿尾の製作
      三線の弦
   本格的な三線を作ろう
      チーガの製作
         材料の選び方
         チーガの加工
         チーガの仕上げ
      チーガに布を張る
         布張り治具の製作
         布張り作業
            材料選別
            布張り作業
三線用の小物
   三線スタンド
   三線掛け
   胴巻き
三線づくりに必要な道具と材料
      道具1
      道具2、材料
道具の手入れ
音階について(三線ポジションの音楽理論)
設計図を書こう
三線の扱い方入門
   三線の組み立て
   弦を張る
   音を出す
      音を出す準備
      音を合わせる
      三線を弾く
      三線の楽譜(工工四)
あとがき
付録
   図面の読み方
   図面を見るには

三線おやじの三線づくり あとがき [手作り三線]

あとがき

三線沖縄.jpg そもそもの始まりは、一度は沖縄に行っておきたいと思った事でした。
 大きな病気をして仕事を辞め、治療に専念しました。治療は何とか成功して命は取り留めたのですが、回復が思わしくありません。このままでは、どんどん悪くなってどこにも行けなくなるかもしれないと感じていました。体力だけではなく、気力もどん底状態でした。本来ならもう少し元気になっているはずなのに、なかなか体を思うように動かせないので、ふてくされて一日中横になっていました。そんな私を見かねた妻が、沖縄旅行を計画してくれました。私も、ここで無理をしなければ後悔すると思い、沖縄に行ってみることにしました。
 沖縄に行ったからといって、急に元気になるはずはありません。半日も観光すれば、もうヘトヘトです。ホテルに帰って部屋でゴロゴロしていました。妻にとっては、さぞもどかしかったと思います。妻は、沖縄の伝統工芸である紅型に興味があり、体験や工房巡りを計画していました。私がホテルで休んでいる間に、紅型工房に立ち寄るようなこともありました。こんな私ですから、観光ペースも本当にゆっくりです。レンタカーを借りて、一日に3ヶ所位しか回りません。そんな数少ない中の立ち寄り先である、沖縄の伝統や文化を体験できるテーマパークで、初めて沖縄三線と出会いました。そこは、あらかじめ準備された部品を組み立てて、自分の三線を作る体験工房です。紅型の体験を予定に入れていた妻が、私に気を遣って勧めてくれたのがきっかけでした。

三線愛用.jpg この時はまだ、三線も弾いてみたいが本物は高いので、まずは土産物レベルで試してみようと思っていました。滞在したホテルに格安で三線の弾き方を教えてくれるコースがあったことも幸いして、しだいに三線を弾く事に対する興味が沸いてきました。うちに帰ってからも、沖縄滞在中に購入したCDと楽譜を参考にして、暇さえあれば三線をつま弾いていました。沖縄に行く前とは違い、少しですが生活に張りが出てきました。
 土産物の三線でも癒しの音は出るし、左手の指使いがギターと比較すればとても楽です。殆どの曲は歌とほぼ同じ旋律を弾く事も、より親しみやすい理由になっています。ギターは途中であきらめた妻も、三線を弾くようになりました。こうなると、妻用の三線も必要になってきました。でも、近くの楽器屋には三線は置いてありません。そこで思い出したのが、三線の部品を組み立てた事でした。胴に布を張るのは素人には難しいが、それを缶で代用すれば、他の部品は何とかなるのではと感じたのです。
 まず、沖縄で購入した三線の構造を理解することから始めました。構造はとても単純でした。原始的と言っても良いくらいです。しかし、無駄は全くありません。素朴だけれども完成された構造が、私を魅了しました。写真で見る限り、私が購入した廉価版と本物の三線の間に基本的な構造の差は無いようです。これは面白い。病気の治療で退社してから感じることの無かった、私の中の物作りの心が呼び覚まされました。

 この後の私は、三線づくりに夢中になりました。なるべく良い音を求めて、色々な三線を作りました。このことは、私の生活にも変化をもたらしました。やりがいが出てきたのです。知人の為に三線を作ったり、DIYのコンクールに応募するようにもなりました。お陰様で、コンクールでは工作部門の大賞を頂きました。もし私が三線と出会わなかったらどうなっていたかを考えると、恐ろしい気持ちがします。病気からの回復の遅い自分を恨みながら、毎日を無為に過ごしていたに違いありません。ある意味で、三線が私を救ってくれたのです。妻と三線には本当に感謝しています。
 でも、作るレベルをさらに上げて、本物の蛇の皮を張るとか、黒木(黒檀)の棹を作ることは当分無いと思います。私を救ってくれた三線づくりを一人でも多くの方に体験して頂きたい。これが今の私の気持ちです。そのためには、一般的に入手できる材料と道具でどこまでやれるかを追求すべきだと思っています。材料も構造も本物と同じなら良い音がするかもしれません。しかし、材料の値段も作り方の難しさも、趣味で作るには度を超えています。作って楽しめ、弾いても楽しめる。そんな三線を目指しています。

三線集合.jpg

三線おやじの三線作り24 三線用の小物1 [手作り三線]

三線を持つと欲しくなる三線用の小物です。
自作できるものを紹介します。
ケースやバチも自作可能と思われますが、そこまでは手を出していません。
どちらも比較的安価で、労力と完成度を考えると、自作の意欲がわきませんでした。
特にバチについては、標準品の購入を薦めます。
(ネット販売で送料抜きで1500円位から)

三線用の小物

三線小物スタンドとフック.jpg三線スタンド(三線置き台)

 三線を置くためのスタンドです。沖縄の標準的な三線も置くことができます。持ち運びを考慮して、組み立て式にしてあります。棹を作る材料と同じサイズで製作できます。スタンドの材料は棹ほどの強度は必要ありません。なるべく軽いものを選んでください。加工で注意が必要なのは、木を組む部分と棹を立て掛ける部分です。木を組む部分は、組んだときにガタの出ないように注意してください。また、棹を立て掛けるパーツが傾かないように注意して加工してください。棹を立て掛ける部分の溝は、棹が無理なく立て掛けられるだけの幅を持たせてください。仕上げ塗装は、木目がきれいに出るように、オイルフィニッシュの無着色が良いでしょう。
 詳細は付録の図15~18を参照してください。


三線掛け

 三線を壁に掛けるための部品です。棹の材料を利用して作ることができるようにしてあります。仕上げ塗装は、木目がきれいに出るように、オイルフィニッシュの無着色が良いでしょう。
 沖縄の標準的な三線をそのまま掛けることはできません。4cmの厚さの板を三線掛けと壁の間に挟むと、標準三線も掛けることができます。
 詳細は付録の図14を参照してください。


胴巻き

 三線おやじには縫い物はできません。
 製作者の説明書きができるまでお待ちください。

三線小物胴巻き.jpg

三線掛けの図面
図14 三線掛け.png
三線スタンド(置き台)の図面
図15 三線スタンド.png
図16 17 三線スタンドパーツ.png
図18 三線スタンド支柱.png
図面の保存と利用方法、三線の組立図はこちら。

三線おやじの三線作り23 布を張る(貼る)2 [手作り三線]

今回で三線作りについての説明はほぼ終了です。
説明不足や理解に苦しむ言い回しもあったと思います。
三線おやじ流の手作り方法について、なるべく忠実に書いてきたつもりです。
付録の図面と写真を見ながらじっくり読んでいただければ理解していただけるものと思っています。
付属品等の説明もするつもりですので、もう少しお付き合いください。

布張り作業

 まず布を木枠(キルトフープ)に固定する作業について説明します。
布張り作業1滑り止め.jpg 布は、あらかじめ必要なサイズに裁断します。必要な布の寸法は、一辺が木枠の外径に5cmを加えた長さとなります。
 木枠と布以外で準備するのは、布の滑り止めとして使用するゴムバンドが2本と、内枠と外枠を挟むクリップが6個と、外枠を締め込む力を強化するための万力です。ゴムバンドの仕様は幅約20mm、厚み約1mm、折り径約240mm (480mmの長さを繋いで輪にしたもの)です。クリップの仕様は、とじ厚(くわえることができる厚み)10mm、とじ幅約30mmです。万力は、シャコ万とかB型クランプとも呼び、掴めるのは0~25mm幅のものです。

布張り作業2枠に布.jpg 最初は、内側の枠に写真のようにゴムバンドを取り付けます。ゴムバンドは布の滑り止めの役割を受け持ちます。次に、2本目のゴムバンドで布を内枠に固定します。このとき、表裏の区別がある布を使う場合は、面の向きを間違えないように固定してください。写真で見えている面が胴に接着される側です。胴に貼る面に皺ができないように布を固定してください。外枠を締めたとき、締め金具の付いた部分は布が寄せられるので皺ができやすくなります。内枠に布を固定したとき、外枠の金具部分に合わせる場所を決めておき、この部分は、ゴムバンドで固定した部分にできる布のしわもよく伸ばしておいてください。

布張り作業3外枠固定.jpg 布を胴に貼るとき、布を強い力で引っ張るので、布がずれないよう枠にしっかり固定する必要があります。外枠を締めるのに万力を使い、さらにクリップで内枠と外枠を挟むのは、布がずれる事を防止するためです。ただし、万力は締めすぎると金具取付部分が破損するので注意してください。また、布を引っ張ったとき、内枠と外枠がずれないように、枠からはみ出した布は、内枠側に固定してください。
 胴に布を貼るのは時間との戦いです。接着剤が固まらないうちに、手早く作業を完了させる必要があります。したがって、作業を滞りなく行う為の準備が重要になります。布張りに関係する全ての部品を、使用する順番を考慮して作業台に揃えてから作業を始めます。
 布目に対する胴の方向をあらかじめ決めておくのも、準備のひとつです。布は、引っ張る方向により伸びる量が異なります。一般的には、最も伸びにくいのが縦糸に沿った方向、次に、横糸に沿った方向です。それ以外の方向はとても伸びやすくなっています。従って、ウマを取り付けるのは、縦糸又は横糸に沿った方向が適しています。枠に固定された布の布目と引っ張りクランプを掛ける場所を考慮して、胴の方向を決める必要があります。
 布を枠に固定したら、霧吹きで布の両面にまんべんなくアルコールをかけて、布をしめらせてください。布の癖を取って、引っ張られたときの伸び代をできるだけ多くし、乾いたらより強く引っ張られた状態で布が胴に貼り付けられるようにするためです。アルコールを布によくなじませるために、布を貼る少し前にこの作業を行います。

布張り作業4胴に接着剤.jpg 胴の布を張る面に接着剤を塗布します。次の作業をやりやすくするため、置き板の上に胴を置いて、接着剤を塗布してください。布を張った枠を固定する方向を考慮して、胴を置く方向を決めてください。木工ボンドはナイロンの接着には適していません。それでも木工ボンドを使う理由は、布を張替えるとき簡単に剥がせるからです。布の織り目の隙間に接着剤が入り込むことにより接着効果があらわれると考えてください。従って、接着剤の塗布量は少し多めにしてください。布を引っ張ることにより、布は外側に向かって伸びるので、内側にはより多めに接着剤を塗布してください。
 布を湿らせたアルコールが乾いていたら、再度アルコールを吹きかけてください。板と胴の間に布を挟んでおくのは、布にかけたアルコールに接着剤が混ざって流れたとき、板と胴を接着してしまうのを避ける為です。

布張り作業5引っ張り.jpg 布を胴の上に置いてください。この時、胴の方向が布目に対して決めたとおりになっていることの確認を忘れないでください。胴は枠の中央にくるようにしてください。
 次に、クランプで枠を引っ張り、布を張る作業を行います。まず、それぞれのクランプを対角線上に掛けてネジを軽く締め、枠のどの場所でも板との距離がほぼ同じになるようにします。そして、各のクランプのネジを少しずつ均等に締めて布を引っ張ります。布を強く張った方がよい音がします。枠が壊れたり、布が枠からずれたりしない程度にネジを強く締めてください。織り目からはみ出した接着剤は、アルコールを付けたティッシュペーパーでふき取ってください。内側もきれいに接着するように、胴の真ん中におもしを置いて、布を少し沈み込ませてください。おもしを外したとき布はたるむことになりるので、おもしの重さは500g程度にしてください。此処までの作業は、アルコールが乾かないうちに終わらせてください。この状態で接着剤が乾くまで放置します。
 接着剤が乾いたら、クランプを緩めて布を枠から外します。クランプを緩めるときも、それぞれのクランプのネジを少しずつ均等に緩めてください。枠を外すときは、胴から布が剥がれないように注意してください。

布張り作業6側面処理1.jpg
布張り作業7側面処理2.jpg
 つぎに、側面に接着材を塗布します。あらかじめ付けておいた側面の中央の線まで接着剤を塗ってください。そして、写真のようにゴムバンドを側面に取り付けて、接着した部分を押さえます。ゴムバンドだけでは押さえる力は不十分なので、その上にトレーニングチューブを巻きます。ゴムバンドとトレーニングチューブで押さえた部分にできた布の皺は伸ばしてください。この状態で接着剤が乾くまで放置します。

布張り作業8側面カット.jpg 接着剤が乾いたら、布を切断して布張り作業は完了します。布を切断するには、刃が円形状になったカッターを使用するときれいに切れます。あらかじめ切断する位置に線をひいてから切断するとよいでしょう。布を切断した部分は糸がほつれやすくなっています。切断部分に接着剤を少量つけてください。

布張り作業9張力測定.jpg 布を張る強さを確認するには、ウマを立てる部分を約1.3Kgの力で押したときの布の沈み込み量を測定します。布の種類にもよりますが、沈み込み量が1.6mm以下なら、布を張る力は十分でしょう。測定する方法は、缶チーガの共鳴板の沈み込み量を測定する方法と同じです。

 布は胴の両側に貼ったほうがよい音がします。反対側にも同じ手順、同じ強さの張りで布を貼ってください。

三線おやじの三線作り22 チーガの布を選ぶ [手作り三線]

今回は、チーガに張る布の選び方について述べます。
このページをプリントアウトして、布選びのときの資料としてください。

チーガに張る布の選別

布仕様870デニール.jpg 三線の胴に張る布には蛇皮に類似した性質が求められると思います。しかし、実際の蛇皮を扱ったことがないので、どんな布が良いのかわかりませんでした。人口皮タイプの三線の皮はナイロン布と聞いていたので、さまざまなタイプのナイロン布を張ってみました。ここでは、私が試したナイロン布で使えそうなものを紹介します。
 最適なのは、厚手のナイロン布です。800~900デニールの糸を使った布で、セルスパン(セールススパン)とかコーデュロンの名称が付けられています。布製の鞄に使われている布をイメージして頂ければ良いでしょう。残念なのは、相当大きな専門店にしか置いてないことです。仕様を言えば取り寄せてもらえると思います。

布仕様420デニール.jpg ナイロン布としてよくあるのは、400デニール付近の糸を使っています。織り方によって、オックスとかワッフルナイロンワッシャーと呼ばれています。三線用として使えますが、共鳴音が低くなります。
 ハイパロンと呼ばれる布には合成ゴムがコーティングしてあります。この布なら、400デニール付近の糸でも、800デニールの糸を使った布に近い共鳴音を得ることが出来ます。

 空気を振動させて音を出すわけですから、織り目に隙間が無いことも重要です。布を通して照明を見たとき、直の明かりが漏れて見えなければよいでしょう。また、布を引っ張った状態で、同じように照明を見たとき、漏れてくる明かりに変化がなければ、より適した布と言えます。
 必用なサイズは、片面30cmx30cmです。三線一台分なら60cmx30cmです。(布張り治具の枠の大きさによって必用サイズは異なります。)

布仕様デニールとは.gif

三線おやじの三線作り21 布を張る(貼る)1 [手作り三線]

チーガに布を張る(貼る)

 チーガに張る皮
11410631.jpg
 沖縄の三線には、蛇皮または人口皮が張ってあります。糊代と皮を引っ張る道具の掴み代を含めると、三線の胴に貼る皮は約30cmの幅が必要になります。これを蛇の胴の径に換算すると約10cmとなり、日本にはいない大型の蛇の皮を使う事になります。ニシキヘビに類似した蛇の皮が使われているようですが、一般には流通していません。人口皮の方は、蛇柄のプリントをしたナイロンと思われる布が使われています。ヘビ柄のプリントが施された布は一般に販売されてはいませんが、ナイロンの布なら、比較的容易に購入することが出来ます。
 ナイロンの布を、ただ胴に貼っただけでは良い音は出ません。布を強い力で引っ張りながら胴に貼らなければ、三線特有の高音域での響きを得ることができません。そのためには、特殊な道具が必要になります。ここでは、そんな道具を作る方法と、作った道具で胴に布を張る(貼る)方法を説明します。
11410949.jpg

 チーガに布を張る方法

布張りサンプル.jpg 此処で紹介する胴に布を張る道具は、ドラムや太鼓の皮を張る方法を参考にしています。写真と付録の図10と布張り作業の項目を見て頂ければ、その原理が理解できるでしょう。
 胴に布を張る詳細は、各工程で説明しますが、概略は次のようになります。まず、胴より一回り大きい丸い枠に布をしっかりと固定します。そして、接着剤を塗った面を上にした胴を、丈夫な板の上に置きます。次に、布を固定した枠を、布の部分が接着面に均一に接触するように、胴の上に置きます。胴を置いた板の方向に枠を引っ張り、胴の面上で布を強く張った状態にして、枠を板に固定します。接着剤が乾燥した後に枠から布を外します。



布張り治具の製作

 布を固定する枠

布張りキルトフープ.jpg 布を胴に貼るとき、布を強く引っ張り、接着剤が乾くまでその状態を保持しなければなりません。そこで、強く引っ張られてもずれないように布を固定する方法が必要になります。
 ここでは、キルトフープのような丸い木枠に布を固定する方法を紹介します。この方法は、布を均一な力で張ることが出来る特徴があります。布に力が加わったとき、織り目の方向によって伸びる量は異なります。均一な張力を得るためには、布の伸びる量の違いを吸収させる機能が必要になります。木枠ならかかる力により変形する量が異なるので、自動的に伸びる量の違いを吸収してくれます。
 キルトフープを選ぶ場合のポイントは、サイズと強度です。サイズは、胴の径より大きい必要があるので、直径250mm程度のものを選んでください。強度については、なるべく頑丈そうなものを選んでください。

布張り枠補強.jpg 頑丈そうなキルトフープでも、三線の布を張る程の強い力が加わることを想定していないので、弱い部分を補強する必要があります。外枠の締め具の取付部分を写真のように、接着剤とテープで補強してください。内枠は木材同士を接着剤で繋いでリング状にしています。接合部分を捻ってみて、接着された板が捲れるようなら、一度接合部分を剥がして接着剤を取り除いた後、さらに強力な接着剤で接合してください。

布張り締め調整金具.jpg 外枠を締める力で布を固定する力が決まります。しかし、強い力で締め付けると、ネジを取り付けてある金属部品が変形して、内枠に対して外枠が部分的に浮くために、布を均一な力で固定できなくなります。この問題を避けるため、写真のような部品を作ってください。この部品の長さは現物合わせで決めます。布を枠に固定する手順の通りに取り付けて、外枠の金属部品が取り付けてある部分に内枠に対して隙間ができる直前までネジを締め込みます。このときの金属部品同士の距離がこの部品の長さになります。

 この部品の寸法は付録の図13を参照してください。


 胴を置く板

布張りベースプレート.jpg 布を胴に貼るとき、胴を置く板が必要となります。この板は、布を強い力で引っ張るときの支えにするので、強くて割れにくい性質が要求されます。必ず、曲げに強い合板を使用してください。
 胴を置く位置の目安として、直径200mmほどの円を中央に描いておいてください。クランプを固定するためのボルトを通す穴を空ける場所は、布をキルトフープに取り付けたときのキルトフープの外径とクランプの寸法を考慮し決めてください。
 この部品の寸法は付録の図11を参照してください。



 クランプ

布張りクランプとハンドル.jpg 布を固定した枠を、胴を置いた板の方向に引っ張るための部品が必要になります。このクランプには強い力がかかるので、木材によっては強度が不足することもあります。その場合には、写真のように木ネジで補強してください。クランプを引っ張るためのボルトには、写真のようにハンドルを取り付けてください。このハンドルを付けることにより、手早く作業が行えるだけでなく、枠を引っ張る力が感触でわかるようになり、布を均一に張ることが出来ます。
 この部品の寸法は付録の図12を参照してください。


布張り治具の全体図
図10 布張り治具.png
布張り治具のベースプレート
図11 ベースプレート.png
布張り治具のクランプと締め調整金具
図12 クランプ 図13 締め調整.png
図面の保存と利用方法、三線の組立図はこちら。

三線おやじの三線作り20 布張りチーガ作り3 [手作り三線]

今回の説明は少し長くなります。
布張りチーガの仕上げは、それだけ注意事項が多いということです。
加工に時間制限がある訳ではないので、注意ポイントを理解して慎重に加工してください。

チーガの仕上げ

中央穴の内側

チーガ仕上中央穴.jpg
 チーガ(胴)の中央に空けた穴は、円柱状のままでは特定の高さの音に共鳴しやすくなるので、何らかの工夫が必要になります。ここでは、穴を19面(素数)の柱状にすることで、問題の現象を軽減します。穴の内壁に19分割した線を書いた後、鑿またはヤスリで19面柱に加工します。表面または裏面の角が捲れ上がらないように注意してください。

棹を通す穴

チーガ仕上棹用穴1.jpg 棹を通す角穴は、三線の弾き心地を決定する重要な部分です。角穴のサイズだけでなく、空ける位置にも注意して加工してください。角穴に対する棹の嵌り具合を確認しながら加工するために、さおの加工が終了してから、角穴の加工をしてください。
 角穴の墨付けでは、胴の4ヶ所に四角形を書きます。この4つの四角形を含んでできる仮想の四角柱が真っ直ぐになるように罫書いてください。
 角穴の加工をやりやすくするため、ドリルで直径10mm~13mm程度の補助穴を空けます。穴がケガキ線からはみ出さないように注意してください。また、穴を空ける前に、4つの四角形のケガキ線の内側1mmくらいの所に深さ2mm程度鑿を打ち込んでおいてください。これにより、ドリルを貫通させたとき穴の端が捲れあがるのを防止できます。

チーガ仕上棹用穴2.jpg
 補助用の丸穴が空いたら、ケガキ線の内側1mm程度までの角穴にしてください。この加工はラフでかまいませんが、力を入れすぎて穴の縁を壊してしまわないように気を付けてください。
チーガ仕上棹用穴3.jpg 角穴の仕上げはまず、弦を張る側(表)に近い面から行います。この面は、表面からちょうど5mmの距離にあり、表面に対し平行になるようにしてください。ノギスで表面に対する距離と平行度を確認しながら、鑿とヤスリで仕上げてください。
 次に、棹の差込部分の幅と同じになるように、角穴の側面を仕上げてください。面間距離が大きくなりすぎないよう、ノギスで確認しながら加工してください。さらに、最初に仕上げた面に平行な面を仕上げてください。やはり、面間距離には充分注意してください。

チーガ仕上棹用穴4.jpg
 さいごに、棹を差込んで、棹との位置関係のズレと角穴のサイズを修正してください。棹を胴に差し込んだ状態で棹の下側から見て、棹の表面が胴の表面に対して平行に見えるようにしてください。
 この時点の角穴のサイズは、棹がきつめに差し込まれる程度にしておいてください。特に、湿度の高い時期には、この点に留意してください。


布を張る面の修正

チーガ仕上布張り面.jpg 弦の振動がウマからチーガに貼られた布に伝わり三線の音になります。良い音を得るためには、布が接着面から部分的に剥がれたり浮いたりしてはいけません。チーガの表面・裏面ともに外側に向かって下りの傾斜が付くように加工します。これにより、布を張ると常に接着面に布を押しつける力が働くことになり、剥がれにくくなります。傾斜は30:1~60:1程度です。木工ヤスリで加工してください。



エッジの仕上げ

チーガ仕上エッジ1.jpg 布を張りやすくするために、外周の角を半径6mm程度に丸めます。ここでは、ルータを使わない方法を説明します。まず外周の角から3.5mmに罫引で線を引きます。鉋又はナイフで、ケガキ線を引いたところまで切り落とします。これで、表面又は裏面に対し45度の傾斜を持った帯状の面が外周の表裏2ヶ所できます。これらの帯状の面の角を、面に対して約22度(45度の半分)の角度で切り落とします。この時にできる3つの面の幅が見た目に同じになるようにしてください。次に、ヤスリで角を丸めてできあがりです。

チーガ仕上エッジ2.jpg

紙やすり

チーガ仕上完了.jpg 最後に、紙ヤスリで磨いて、チーガ(胴)の加工は終了です。#100程度の紙ヤスリをかけた後、#240程度の紙ヤスリをかけてください。次に濡れたぞうきんでチーガ全体を拭いて、表面を湿らせてください。乾燥させると、表面の細かい歪みが取れて、毛羽立った状態になります。#240の紙ヤスリでこの表面を磨きます。この時、少し使った紙ヤスリの面でヤスリ掛けを行ってください。こうすることにより、毛羽立ちの少ない滑らかな面になります。内側も音の反響に影響するので、丁寧に磨いてください。丸めた角が滑らかでないと、布を均一の力で張る妨げとなります。特に注意して仕上げてください。
 仕上げ終了後、側面の真ん中に一周にわたり線を引きます。この線は、貼った布を切断する目安の線です。胴の厚みを測って、そのちょうど半分の所に線を引いてください。

三線おやじの三線作り19 布張りチーガ作り2 [手作り三線]

いよいよチーガの加工に入ります。
選んだ材料のサイズと材質に応じて、チーガの大きさを決めてください。
そのとき、前回のブログのチーガの図面を参考にして、あなたの作るチーガの設計図を書くことをお奨めします。

チーガの加工

木取り

 外形に合わせて材料を切断します。重要な部分は、布を貼る表と裏の面です。この2面を基準面にするので、面全体で平面度・平行度ともに0.5mm以内になるようにしてください。厚みは50mm~65mmの間で、材料に合わせて設定してください。
 側面は、この時はラフでかまいません。角材ならば一辺が180mmから190mm、丸材ならば直径が190mmから200mmの範囲にしてください。
チーガ木取り.jpg


墨付け

チーガ墨付け.jpg 墨付けにおいて重要なのは、表と裏の図がずれないようにすることです。まず、中心を通って直交する直線を両面に書きます。この線は基準線になるので、表と裏でずれないように正確に書いてください。またこの線は、側面に空ける棹を通す角穴の基準にもなります。最初に引く中心線は、角穴の中心を通る線で、棹を通したとき穴が破壊されにくくなるような方向に書いてください。次に、この直交線を基準にして、両面に中央の穴と外周を書いてください。
 墨付けの寸法は、前回のブログのチーガの図を参照してください。



粗加工

チーガ中央穴切断.jpg 罫書き線に従って、鋸・ジグソー等で外周を切断します。胴は、ジグソーで切断できる限界の厚さです。無理にジグソーを押したりしないで、時間をかけてゆっくりと作業を行いましょう。切断された位置が、罫書き線に沿っているか、表側だけでなく、裏側も確認しながら加工を行ってください。
 回し引き鋸・ジグソー等で、中央の穴加工を行います。まず、ケガキ線の内側に直径10mm程の穴を空けます。穴を貫通させると、出口側の穴の角が捲れあがります。下に補助板を敷いて穴を空け、捲れを防止しましょう。次に、ジグソーで中央の穴を切断します。作業中に注意すべきポイントは、外周を切断したときと同じです。

チーガ粗加工済.jpg 切断面が、ケガキ線に沿うように、木工ヤスリで荒仕上げをしてください。中央の穴は19面の角柱にするので、この時点では、切断面がケガキ線から2mm以内にある程度で十分です。外周は表面と裏面に対する直角度を確認しながら加工してください。木の上下の面が剥げないように、ヤスリ掛けの前に角の面取りを行ってください。

三線おやじの三線作り18 布張りチーガ作り1 [手作り三線]

 今回から、チーガに布を張った三線の作り方の説明をします。布を張る三線は、材料の選別、布を張る治具の製作など様々なことを行う必要があります。一つ一つのステップを丁寧にこなしていけば、満足できる音色の三線を作ることができると思います。

布張りチーガ作り

 伝統的な沖縄三線の音色は独特で、人の心を癒してくれる力があります。この音色を出すには、チーガ(胴)に蛇の皮を貼らなければなりませんが、特定の布を貼っても、近い音色にすることができます。沖縄でも、人工皮の三線として販売されています。
 ここでは、沖縄で一般的に採用されている方法とは異なっていると思いますが、私なりに試行錯誤して得た、胴に布を張った三線の作り方について説明します。
 チーガ(胴)の作り方、布を張る治具の作り方の順で説明していますが、製作の順序は問いません。


材料の選び方

チーガ桜材.jpg
 胴に加工できるサイズの材料は、DIYショップでは手に入りにくいと思います。幸い、木の種類に大きな制限はありません。サイズを満足して割れが入っていなければ、殆どの種類の木を三線の胴として使うことができます。強度の点で問題となるのは、棹を差し込む角穴の部分です。棹を抜き差しして角穴に割れが入らなければ、木目の方向も問いません。根気よく探せば、流用できる材料があるでしょう。銘木店に注文すれば、高価にはなりますが、手にはいると思います。
 できれば、なるべく堅くて強い材料を選んでください。桜ならば、輪切りの材料も使用できます。写真の材料は、桜と杉です。他には、チーク、カバ、ナラ、ラワン等が使えると思います。

チーガ杉材.jpg
 材料は、乾燥が進むことにより割れが入ることがあります。購入後は、必要な外形に近いサイズに切断します。すぐに三線製作をしないのなら、木取りの工程まで加工して、中央の穴も、なるべく正規に近いサイズで空けておきましょう。
 適切なサイズの材料が、どうしても手に入らない場合は、厚さ18mmの板を3枚重ねて胴を作ります。中央の穴を空けた後に、貼り合わせてください。接着剤が乾くまで、クランプなどの締め具を使って接合部を押さえつけ、隙間ができないようにしてください。
 私の方法はたまたま無垢材料で適当なサイズにめぐり合えたので、このようになりました。伝統的な三線の胴は4枚の板を枡の枠ように組み合わせて接着した後に、丸みを持たせる加工をしているようです。あられ組み加工ができるなら、この方法の方が強度も増して、理にかなっていると思います。この方法のもうひとつのポイントは、内側にも曲面加工を施す必要が生じることです。この加工が少し大変になると思います。200mm x 60mm x 30mm位の板が4枚あればできると思います。この方法で胴を作る場合、棹を通す穴の位置関係だけは合わせてください。仕上げ工程での留意事項は同じになると思います。

木のブロックを加工するタイプのチーガ参考図
図3 チーガ.png

板を組み合わせるタイプのチーガ参考図
図3-2 板組チーガ.png

図面の保存と利用方法、三線の組立図はこちら。

三線おやじ流 三線の扱い方入門3 工工四 [手作り三線]

三線の扱い方の最終回は、三線の楽譜について書きます。

三線専用の楽譜は工工四(クンクンシー)と呼ばれます。
いきなり工工四を見ても、何のことかわからないと思います。
机上でただ説明を受けても、理解するのは大変だと思います。

やはり、三線を実際に弾きながら工工四の理屈を理解するのがベストだと思います。

三線に興味のある方ならどなたでも一度は耳にしたことのある、
「てぃんさぐぬ花」と「安里屋ユンタ」を例として載せます。

通常の楽譜、TAB譜(ギターで良く使われる楽譜。各弦に押さえる場所を記入した楽譜)と工工四を載せます。
これらの楽譜を見比べていただければ、工工四の理屈を理解していただけると思います。

楽譜をクリックすれば、別画面で拡大表示されます。

てぃんさぐぬ花工工四.png

てぃんさぐぬ花TAB譜.png

安里屋ユンタ工工四.png

安里屋ユンタTAB譜1.png
安里屋ユンタTAB譜2.png
安里屋ユンタTAB譜3.png

余談ですが、これらの楽譜も三線おやじの手作りです。
エクセルを利用し、フリーの楽譜フォントを使って作りました。
三線の弦を押さえる場所の文字は、通常のフォントを利用して三線用のフォントを作りました。
版権の問題でそのまま提供することはできないと思います。
やり方については、そのうちに説明するかもしれません。
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